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ビルメンテナンス業務の費用相場は?
ビルメンテナンスを業者に依頼する場合、多くのオーナーは、適正な業務内容とサービスの質、そして最適な価格であることを条件に業者を選ぼうとするのではないでしょうか。今回は、気になるビルメンテナンス業務の費用相場を独自で調査しました。
ビルメンテナンス業務の費用相場
ビルのメンテナンス業務の費用は、積み上げ式(作業内容を足していく形式)か、延床面積当たりの単価で計算される形式が主流です。
延床面積から算出する費用は、作業にかかる人件費から逆算します。一方で、積み上げ式で算出する費用は、人件費はカウントせず、あくまで作業単価を加算します。比較すると積み上げ式の計算の方が料金は高めになる傾向があります。
ちなみに、延床面積から算出する方法による、坪あたりの費用相場は以下の通りです。
※費用は目安です。業者によって変動します。
■有効床面積500坪程度の場合…坪あたり500円程度
■有効床面積1000坪程度の場合…坪あたり800円~1000円程度
■有効床面積3000坪以上の場合…坪あたり1200円~2000円程度
ビルメンテナンス業務ごとの費用相場
次に、ビルメンテナンス業務ごとの費用相場を見ていきましょう。主な業務を例にご紹介します。
ただし、業務にかかる費用は建物の規模によって大きく異なります。また、提示価格の中に含まれるサービス内容も業者により様々です。ご紹介する費用相場は、あくまで目安として参考にしてくださいね。
業務① エアコンクリーニング
〈費用相場〉
■業務用天井埋込タイプ(1基当たり)…2〜6万円
〈エアコンクリーニングの作業内容〉
1.分解作業
内部洗浄をするにあたり、カバー、フィルターなどの部品を分解。
2.洗浄作業
エアコン本体をビニールカバーで囲い、水で流した汚れを一箇所に集める。そしてエアコンクリーニング専用の洗剤で汚れを浮かせ内部を洗浄。高圧洗浄機で確実に汚れを落とす。
3.乾燥作業と部品の取り付け
洗浄終了後、部品を乾燥させ、取り外した部品を取り付ける。最後に試運転を行い、動作に問題がなければ作業終了。作業時間の目安は1基につき2時間程度。
業務② 管理員業務
〈費用相場〉
ビルの管理員を依頼する場合の費用例は、残念ながらホームページ上でほとんど紹介されていませんでした。
そこで参考までに、管理会社が単価を決める算出方法の一例をご紹介しましょう。
「管理員の時給×管理会社の利益×月間勤務時間」
管理員のように費用の内訳で人件費が多くを占める業務の場合は、こうした算出方法を用いている業者が多いようです。
ちなみに弊社の管理員費用は10万円~(1ヶ月)設定しております。
〈管理員業務の内容〉
1.窓口業務
管理員はビルの受付として、宅配便の受付・受け渡し、共用部分の鍵管理、掲示物の張り出しからビル内の苦情やトラブルにも冷静かつ公平に応対する。
2.立会業務
修繕工事などで外注業者が作業を行うときや、ゴミの搬出で業者が出入りするとき、さらには敷地内の事故・事件現場や、災害時の救急対応といった様々な現場に立ち会う。
3.点検業務
ビルの安心安全を守るため建物内部はもちろん、建物周辺や屋上などを巡回して目視点検をする。例えば換気・給排水・エレベーターなどの設備が正常に稼働しているか、照明等の電気設備に異常はないかなど。同時に、不審者がいないか、無断駐車がないかなど防犯対策も兼ねて行う。
4.報告連絡業務
日々の出来事を管理日誌に記録する。配布した文書や掲示物の保管、各種届出や立会の結果などを残す。ビルの利用者から聞いた相談を管理会社やオーナーに、別途報告することもある。
業務③ エレベーター保守
〈費用相場〉
■ロープ式・油圧式(人的点検を1ヶ月に1回実施)
インターホン+遠隔監視装置付…2.2万円~4万円
インターホン通話装置付…2万円~3.8万円
なし…1.8万円~3.6万円
■巻銅式(人的点検を1ヶ月に1回実施)
インターホン+遠隔監視装置付…1.9万円~3.4万円
インターホン通話装置付…1.8万円~3.2万円
なし…1.6万円~3万円
〈エレベーター点検の業務内容〉
1.エレベーター法定点検
建築基準法で義務付けられている「エレベーターの安全確保にとって重要な安全装置の試験や、機器の劣化を総合的な面で判定を行う検査」を年1回実施。
2.エレベーターの保守点検
法定点検の他、1〜3ヶ月おきに保守点検を実施。保守点検ではエレベーターを一時停止し、各種点検、作動油交換、清掃、各種調整などを行う。またスイッチやランプ、蛍光灯などの消耗品の交換や必要に応じてメインロープの交換を行う。
3.エレベーター遠隔監視
深夜の利用者がいない時間帯に、遠隔でエレベーターを動かすなどし、不具合がないかをチェック。また、24時間365日遠隔でエレベーターを見守ることで、万が一の緊急事態に対応できるよう備える。
業務④ 消防設備点検
〈費用相場〉
消防用設備点検(1回)※年2回の実施が必要です
■延べ面積500~1000㎡…2万円~5万円
■延べ面積1000~2000㎡…3万円~8万円
■延べ面積2000~3000㎡…5万円~10万円
〈消防設備点検の業務内容〉
1.消防用設備等の点検
消防設備は、定期的な点検(法定点検)が消防法で義務付けられている。法定点検と消防機関への点検結果報告の作成を有資格者(消防設備士または消防設備点検資格者)が行う。
主な消防設備は、消火器や屋内消火栓設備、自動火災報知設備、スプリンクラー設備などがあり、様々な種類の消防設備が点検の対象となっている。
2.防火対象物定期点検
消防届出書類が適切か、ビルが消防計画に基づき適切に運用されているかなどを防火対象物点検資格者が点検する。
3.防災コンサルタント
ご要望により、防災訓練や、防災計画、防災マニュアルの作成などを行う場合もある。
業務⑤ 駐車場管理
〈費用相場〉
1名1日(8時間)当たりの費用
■基本料金(5時~22時)…1.25万円~1.4万円
■深夜料金(22時~5時)1.5万円~2万円
※勤務場所が屋内なのか、屋外なのかという労働環境によって料金が変動することがあります。
駐車場管理業務の費用の主な内訳は人件費となります。
〈駐車場管理の業務内容〉
1.入出庫管理
駐車場の入出庫管理を行う機械が故障したり、誤作動が起こったりした時や、不正出庫や不正駐車がいた場合に対応する。
2.精算機の回収・補充
精算機における駐車券の回収・補充、領収書用の用紙の補充、釣銭の補充を行う。
3.駐車料金の集金、精算
精算機または窓口で集金した駐車料金の精算を行う。
4.交通誘導
駐車場出入口の車両や歩行者を誘導し、スムーズで安全な入出庫を促す。必要に応じて許可証の確認や搬入車両のコントロールなど、多岐に渡る交通誘導を行い、円滑な駐車場運営を行う。
5.機械式駐車場の操作
利用者自身が機械を操作する場合は、そのサポートや故障時の対応を行う。煩雑な仕組みであったり、駐車台数が多かったりといった機械式駐車場の場合は、専任のスタッフが操作を行う。
6.駐車場内の防犯、防災
駐車場内の定期的な巡回や、設置された防犯カメラの監視を行い、不審者や不審物を早期発見することで駐車場内の防犯に努める。
業務⑥ 貯水槽清掃
〈費用相場〉
■受水槽
5tまで…3.2万円~4万円
10tまで…4.2万円~6万円
■高架水槽
5tまで…1万円~2.2万円
10tまで…1.5万円~3.2万円
■水質検査11項目:6千円~1.1万円
■水質検査16項目:1万円~1.6万円
■夏場の水質検査12項目:2.5万円~4万円
※清掃や検査を行いながら、設備の破損や劣化を確認します。もし破損などが見つかった場合、修理も行います。その場合、別途追加の料金が発生することがあります。
<貯水槽清掃の内容>
貯水槽とは、飲料水を一時的に溜めるタンクのこと。有効容量が10㎥を超える貯水槽(受水槽・高架水槽/高置水槽)は、水道法やビル管理法に基づいて、1年に1回以上の定期的な清掃や登録検査機関による検査を受けなければならない。
<清掃の手順>
1.貯水槽上部に溜まっているホコリや汚れを清掃する。
2.給水の元栓を閉める。
3.高置水槽への揚水
4.貯水槽内の残水を外部へ排水
5.排水をしている間に、掃除用具の消毒
6.ブラシやタワシ、高圧洗浄機などを用いて貯水槽内を清掃。清掃が終わったら、残った水を拭き取る。
7.一度消毒をしたらしばらく時間を置き、水洗いと拭き取りを2回繰り返す。
8.消毒の後30分以上経過してから、貯水槽に水を張る。
9.水質検査を行う。透明なガラスコップや白いカップに水を取り、「濁度」「色度」「残留塩素」「臭気」「味」の5項目を検査する。
業務⑦ 排水管洗浄
〈費用相場〉
■8階建てビル …6~8万円
■10階建てビル…9.5万円~11万円
■12階建てビル…12万円~
※建物の規模、排水管の数によって異なります。
〈排水管洗浄の業務内容〉
ビルの排水管洗浄は、ビル衛生管理法により6ヶ月以内に一回行うことが義務付けられている。
排水管洗浄の工法としては、高圧洗浄法が主流である。
高圧洗浄法とは、排水管の中に洗浄ノズルを差し込み、高圧水を噴き出す事で、水圧と水量により前方に進み管内の汚れやヌメリを洗い流すという方法。
排水管の汚れは、除去が遅くなれば改修費用がかさむことも考えられるので、ビルの管理者は法律で決められたペース内で確実にメンテナンスを行うことが大切である。
業務⑧ 機械整備
〈費用相場〉
■7千円~1.2万円…機械設備の保守・点検(1ヶ月)
※部品交換など修理発生した場合は、別途料金がかかることがあります。
〈機械整備の業務内容〉
1.充実のサポート体制(24時間365日)
遠隔監視システムを使い、年中無休24時間体制でビルや建物を遠隔管理する。機械にトラブルがあった際の異常対応、修理対応などのメンテナンスサービスを効率的に行う。
2.専門スタッフによる保全
機械設備の定期点検と、必要な部品交換や修理を実施することで大きなトラブルを未然に防ぐ。専門的な技術でビルの安定稼働を支える。
まとめ
現在ビルメンテナンスにどのくらい費用をかけていますか?ビルを管理するのには、法的基準が定められているものをはじめ、様々な項目があります。そのため、ビルメンテナンスにかかる費用は必然的に増えてしまうもの。
今回、ビルメンテナンスの相場事例をご紹介しました。ぜひこの機会に、一度、現契約の価格が適正なのか、相場より高いのか、低いのかを確認するために、いくつかの業者に査定依頼をして比較するのもいいかもしれませんね。
改善ポイントが見つかれば、今よりも大幅なコスト削減が叶うかもしれませんよ。