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マンション管理の仕事を紹介します
専門的な知識や技術を活かしたマンション管理の仕事は、マンション内での事故や犯罪を抑制し、清潔で快適な住空間を保つことで、マンションの不動産価値を上げる大切な仕事です。今回は、そんなマンション管理の仕事内容について詳しくご紹介します。
事務管理業務
事務管理業務とは、管理組合の収入および支出の調定・出納、マンションの管理費や修繕積立金の収納・出納など会計業務全般のことです。同じマンションの入居者の管理組合員が行うのには、少し抵抗がある未収金督促も管理会社が代行します。
また、会計業務以外にも、決算書・予算案の作成や、マンションの劣化を計画的に予防する長期修繕の計画・実施の調整なども行います。修繕計画では、コスト削減のためにできることを考えることも重要な仕事のひとつ。
管理コストで削減できる点を見つけ、管理組合に提案することもあります。
マンションの運営について話し合う総会や理事会では、マンションの管理組合員だけでは解決に至らないこともあるため、マンション管理会社が運営の補助に入ります。
管理員業務
管理員業務とは、マンションで管理員が行う日常業務のことです。入居者と顔を合わせる機会が多い管理員の対応や仕事ぶりは、管理会社のイメージに直結するといっても過言ではありません。専門スキルは必要ないものの、様々な事態に臨機応変に対応する機転のよさと、コミュニケーション能力は必要といえるでしょう。その仕事は多岐にわたりますので、順にみていきましょう。
〈受付業務〉
管理員の代表的な仕事のひとつである窓口業務。管理員は、一時受付として、あらゆる問い合わせや相談に応じなければなりません。
入居者は気が付きにくいかもしれませんが、マンションには様々な方が訪問するため来客者への応対は管理員の大事な仕事です。そして同時に、入居者への配慮も行います。
例えば、宅配便の受付・受け渡し、共用スペースの鍵の管理、運営上の必要事項を入居者へ伝達、入退去届けの受理、駐車場の使用申し込み受付から、入居者の要望や苦情受付に至るまで様々なことに応対します。
〈点検業務〉
マンションの建物・設備点検は、入居者の安全と快適な暮らしを守るために欠かせません。管理員が日常的に行う自主点検では、マンションの内外を巡回しながら目視や簡単な作動チェックで確認を行い、異常があれば迅速に対応します。
具体的には、換気設備・給水設備・浄化槽・排水設備・エレベーター・機械式駐車場設備・照明等の電気設備などを確認します。
こうした点検業務を行うことはマンションの防犯対策にもつながります。不審者や侵入者はいないか、無断駐車や無断駐輪はないかなども、併せて見て回ります。
〈立会業務〉
マンション代表としてさまざまな現場に立ち会う立会業務も管理員の業務に含まれます。
修繕工事や設備の保守・点検を外注業者が作業を行うとき、不正や手抜き作業はしていないか、作業実施者以外の第三者が現場で立ち会い、作業状況を確認することが大切なのです。
そのほかにも、清掃業務やごみ収集時に立ち会い、清掃・収集がしっかりと行われているかを確認します。
また敷地内で事故や事件が起こった場合や、地震や台風などの災害時といった救急対応の現場においても、第三者の冷静な目で確認する必要があるので、立ち会います。
〈報告連絡業務〉
多くの入居者がともに利用するマンション。各々の入居者がマンション管理について常に共通の理解を持つことは、マンションの円滑な運営に役立ちます。
あとから、「聞いてなかった」と言われないように、管理員は日常業務の実施結果を記録し、各種の報告・連絡を怠らずに行うことが重要です。
報告内容は、設備点検の結果や現場立会の結果・イベントのお知らせや苦情報告・災害や事故など緊急時の連絡・管理組合文書など。これらを入居者向けに配布や掲示板・回覧板などで広報します。また、マンションの入居者から聞いた相談や苦情を管理会社やオーナーに、別途報告することもあります。
清掃業務
快適なマンション生活を送るためには、入居者全員が利用する共用部分の清掃が大きな影響を与えるといえます。マンションを美しく清潔に保つために共用部分を定期的に清掃します。
〈日常清掃〉
入居者が日常的に使用するスペースはゴミやほこりがたまりやすいもの。そこを清潔に保つために、管理員が勤務時間内に行う清掃が「日常清掃」です。
具体的な例として、エントランス、共有通路、階段・手すり、エレベーター、自動ドア、集合ポスト、掲示板、駐車場、自転車置場、建物周辺の掃き掃除や拭き掃除・低所のクモの巣除去などが日常清掃に含まれます。
〈定期清掃〉
日常清掃では落ちない汚れを月1回~年数回程度の頻度で清掃するのが「定期清掃」です。
汚れの蓄積は放っておくと素材に沈着したり、カビや藻が発生しやすくなったりしてどんどんマンションが古びた暗い印象になるので、そうなる前に徹底清掃をしておく必要があります。
定期清掃は一般的に専門業者に依頼をし、高圧洗浄機やポリッシャーなどの機材や洗剤を用いて清掃してもらいます。
清掃する場所としては、汚れが蓄積されやすい床や壁をはじめ、屋上、排水管、浄化槽、照明清掃、貯水槽、敷地内除草、害虫・害獣駆除などが含まれます。
〈スポット清掃〉
日常清掃や定期清掃で除去しきない汚れや手をつけていない場所を、年1回程度の頻度で清掃するのが「スポット清掃」です。
例えば、高所のガラス窓清掃や、溝にはめている鉄で出来た格子状のフタ(グレーチング)の清掃などが挙げられます。スポット清掃は基本的に専門業者に依頼します。
建物・設備管理業務
マンションの建物や設備は、日常的に行う「自主点検」の他に、法律で実施を義務づけられている「法定点検」を行う必要があります。
マンションに関する法定点検は7種類あり各設備により実施ペースは異なります。有資格者による点検になるため、専門業者に依頼しなければなりません。なお、7種の法定点検とは以下のとおりです。
(1)特殊建築物定期調査 ※3年に1回
マンションの基礎や外壁など建物の構造強度の確認、地盤沈下や排水不良がないかを調査します。
(2)建築設備定期検査 ※1年に1回
換気設備、排煙設備、非常用照明装置、給排水設備などの設備の状況を検査します。
(3)エレベーター(昇降機)定期検査 ※1年に1回以上
エレベーターやエスカレーターの機能全般を点検します。
(4)消防用設備点検 ※機能点検は6カ月に1回、総合点検は1年に1回以上
火災が起きたとき、消防用設備が正常に作動しなければ元も子もありません。万が一の事態に備えて、
消火器、消火栓、火災報知機、ガス漏れ警報器、避難器具、避難通路などの設備に異常がないか点検します。
消防用設備の配置や状態を目視や簡単な操作を行う機能点検と、消防用設備を実際に動作させて総合的に点検を行う総合点検があります。
(5)簡易専用水道管理状況検査 ※1年に1回
受水槽の有効容量の合計が10立方メートルを超える場合は、水質検査と受水槽の清掃が定期的に必要になります。
(6)専用水道定期水質検査
「受水槽が100立方メートル以上」「1日の最大給水量が20立方メートル以上、居住人口が101人以上」「口径25ミリメートル以上の導管の全長が1,500メートルを超える」のいずれかに該当するマンションでは、受水専用水道の水質や残留塩素の検査を毎日、水質検査を月に1回以上、受水槽の清掃を年1回以上することが義務付けられています。
(7)自家用電気工作物定期点検
電気設備の維持管理は本来、電力会社の責任で行いますが、屋外型の高圧受電設備(600V以上)が設置されているマンションに関しては、管理組合の責任で月次点検と年次点検を行うことが法律で定められています。
植栽管理業務
植栽管理の作業は多岐に渡るうえ、幅広い専門知識も必要なため、一般的には専門業者に依頼します。
マンションは植栽管理を行うことで、景観が美しく保たれ、資産価値が上がると言われています。また、木々の成長をコントロールすれば、台風などの自然災害リスクも軽減できます。加えて、見通しをよくすることで、犯罪を防ぐ効果もあります。
植栽管理は、マンション住民の安心・安全な暮らしを守るためにとても大切なことなのです。
まとめ
いかがでしたか?
マンション管理業務というのは多岐にわたり、入居者が普段目にしている業務以外にも多くの業務を担っているのです。購入したマンションが安全で快適な環境を保ち、かつ高い資産価値を維持することは、誰しもが望むことでしょう。「マンションは管理を買え」という表現があるほどに、マンション管理業務は、マンションにとって重要な役割があるのです。