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ビルメンテナンスの仕事を紹介します
ビルメンテナンスとは、オフィスビルや商業ビルなどを利用する施設利用者が安全で快適に過ごすために、設備整備や点検を行う仕事です。その仕事内容は多岐にわたりますが、今回はそれを一挙まとめてご紹介していきましょう。
空気環境の管理
もし空調や換気の設備の不良により汚れた空気がビル内を循環することになれば、人体に深刻な被害を及ぼす恐れがあります。
そのために、ビル衛生管理法により特定建築物は、2ヶ月以内に1回の頻度で空気環境測定を行うことが義務づけられています。
特定建築物というのは、延べ面積3,000㎡以上(学校教育法第1条に規定する学校については8,000㎡以上)の百貨店、事務所、遊技場、店舗、図書館、学校(学校教育法第1条に規定する学校以外)、ホテル・旅館、博物館、美術館、集会場などが該当します。
空気環境測定の主な検査項目は「浮遊粉じん」「一酸化炭素」「二酸化炭素」「温度」「湿度」「気流」の6項目であり、それに加えて新築、増築、大規模の修繕や模様替えをした場合は、その使用開始から直近の6月~9月までの間に1回、シックハウス症候群の原因ともなる「ホルムアルデヒド」の測定も必要です。
飲料水環境の管理
人が直接口にする飲用水は、その水質を保つため、法律で水質基準項目が設定されており、基準値を超過していないか、日々検査・管理を行います。
延べ面積3,000㎡以上の特定建築物の場合、飲料水の水質検査は6ヶ月以内ごとに1回16項目、毎年6月~9月の間に1回消毒副生成物12項目の検査を行わなければなりません。
また、特定建築物で井戸水を使用している場合は、3年以内ごとに1回8項目の検査の必要があります。
排水環境の管理
ビルの排水設備は、下水管へ直接つながっている一般家庭の排水設備と異なり、1度、汚水槽(排水槽)に溜めてから排水ポンプで下水管へ流す仕組みです。
この仕組みにより、ビルの排水設備は常に一定量の排水が溜まった状態になるため、非常に汚れが付きやすくなります。
汚水槽(排水槽)や排水ポンプを汚れで詰まらせないために、ビルの排水設備の清掃は6ヶ月に1回する必要があり、また雑用水水質検査は2ヶ月に1回、貯水槽の清掃は6ヶ月に1回、遊離残留塩素測定は1週間に1回と、それぞれ頻度が法律で定められています。
害獣・害虫の予防と駆除
延べ面積3,000㎡以上の特定建築物の場合、6ヶ月に1回、害虫の生息調査が義務づけられています。 生息調査で異常が見つかれば、害虫予防・駆除を行います。
害虫の調査は建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)が行います。害虫調査や駆除に関してはビルメンテナンス会社が専門業者を手配し依頼することも多いです。
空調設備の管理
快適な空間作りにエアコンは必要不可欠です。エアコンが故障したり、汚れた空気を排出したりして利用者に負担をかけないよう、定期的な清掃や保守点検を行います。
空調設備の故障やトラブルを発見したら、専門業者を手配し、修理を依頼します。
定期的に保守・点検を行うことで、運転効率の向上、急な出費の削減(計画的な予算計画)、耐用年数の延長、安全性の向上といった効果が期待できます。
電気設備の管理
電気設備とは、照明設備・配線設備・受電設備・通信設備・動力制御設備などが含まれ、どれもが安全で快適な施設環境を保つためには欠かせません。
電気が一旦止まると、照明だけでなく空調や給水など他の設備にも影響を及ぼし、施設は機能しなくなります。
そのためビルメンテナンスの仕事において、電気設備の管理は特に重視する仕事の一つです。作業としては、電灯の交換や電気設備の簡単な修理・設備点検を行います。
ビルメンテナンス業務に携わるのであれば、電気主任技術者や電気工事士の資格があると重宝されますよ。
機械設備の管理
ビルの機械設備は、主にエレベーターや自動ドアを指し、それらの保守・点検を行います。
年1回の法定検査が必要なエレベーターは、一級建築士、二級建築士または昇降機検査資格者による検査・報告諸手続きが必要です。
また、利用者に安心安全にエレベーターを使用してもらうためには、法定点検に加え、保守点検も必要です。頻度は1〜3ヶ月おきに行われることが多いですが、理想は1ヶ月に1度の点検と言われています。
点検ではエレベーターを一時停止して、各種点検、作動油交換、清掃、各種調整などを行います。またスイッチやランプ、蛍光灯などの消耗品の交換も行います。さらに必要に応じて、数年おきにメインロープなどの交換を行います。これらの作業は、専門技術者が行います。
エンジニアによる現場の点検・保守作業以外に、遠隔監視を行うことも多いです。利用者がいない深夜の時間帯に、遠隔でエレベーターを動かし、不具合がないかをチェックしています。この作業により早い段階で不具合やその予兆に気づくことができるので、故障や事故を未然に防ぐことができます。
ボイラー管理
ボイラーとは、燃料を燃焼させて水を水蒸気や温水に換える装置のこと。商業施設やオフィスビルでは給湯設備・空調設備・動力源などにボイラーが使用されています。
ボイラーが安全に作動するために、1ヶ月に1回、有資格者(ボイラー技士)による点検を定期的に行い、その結果を記録して残すことが義務づけられています。
保安警備業務
ビルの保安警備は、防犯・防火対策が主であり、具体的には、来訪者の案内・出入管理、ビルの巡回、防災センターの監視装置チェック、消防設備の点検などがあります。
規模の大きいビルや商業施設などでは、保安警備業務は専門の警備員に依頼することが多いです。
消防設備とは、消火器や火災報知器などを指しますが、これらは、もしもの時に使用できなければ被害の拡大につながるため、法律によって定期的な点検が義務づけられています。
消火器は半年に1回以上、消防設備士による点検(使用期限が過ぎていないか、本体や安全栓・押し金具・レバーなど各部品に損傷や変形、腐食がないか、法令に基づいた設置場所や間隔で置かれているかなど)が必要です。
火災報知器は、半年に1回以上の作動点検・機能点検・外観点検に加え、1年に1回、火災報知器を含む消防設備を実際に作動させ、正常に作動するかどうかを確認する総合点検も行なわなければなりません。
清掃業務
ビルの利用者が気持ちよく過ごすためには清掃も大切な業務です。
ビルの清掃は、内部清掃と外部清掃があります。内部清掃は、床・壁・扉・天井、給湯室やトイレ、エレベーター・喫煙所のほか、照明器具・ブラインドなど細かいところも定期的に清掃します。
ビルの外部清掃は、ビルの美観を保つために、外壁・高所の窓ガラス・屋上の清掃、散水などを行います。
マネジメント業務
数々のビルメンテナンス業務をご紹介してきましたが、これらの業務を円滑に進めるためのマネジメント業という重要な役割も忘れてはいけません。
例えば、ビルの大掛かりな修理や清掃などを専門業者に依頼する場合、業者との打ち合わせは、ビルメンテナンス会社の仕事です。必要に応じて、交渉や業者の変更をすることもあります。
ビルに入っているテナント(店舗や会社)からの要望やビル設備に関するクレームの一時受付もマネジメント業務に含まれます。いったん話を聞いて対応したり、ビルのオーナーに伝えたりします。
逆にオーナーからテナントに要望がある場合は、ビルメンテナンス会社が間に入ってうまく橋渡しをするケースもあります。こうしたマネジメント業務は、ある程度のコミュニケーション能力を必要とします。
まとめ
いかがでしたか?多くの方が利用するビルの安心と安全は、ビルメンテナンス業者によって守られているのです。表立った仕事ではないですが、縁の下の力持ちとして大切な役割を果たしているということが、ビルメンテナンス業務のやりがいといえるのではないでしょうか。