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ビルメンテナンス会社の貯水槽清掃業務について紹介します。
マンションやビルには貯水槽が設置されていることがあります。その維持管理は、設置者もしくは管理者の責任で実施しなければなりません。利用者の健康を守るため法律でも義務付けられています。その法律の内容や、貯水槽清掃の内容についてご紹介します。
貯水槽とは
貯水槽とは、水を貯める設備のことで、ビルやマンションの屋上や、1階や地下などに設置されます。飲料用水だけでなく工業用水、防火用水などの用途があります。
貯水槽の中でも「受水槽」というと水道水をためておく設備のこと、「高置水槽」はその受水槽を屋上に設置したもの、「高架水槽」は高置水槽をさらに高架によって高さをあげたもののことです。
貯水槽清掃に関する法律
貯水槽は水道法第34条の2及び水道法施行規則第56条によって、設置者又は責任者が厚生労働省令で定める基準に従い管理し、年1回以上(水道法施行規則第55条)の検査を義務付けられています。
またその検査を行うのは、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者でなければなりません。
厚生労働省令で定める基準とは、「貯水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期に行うこと」「有害物、汚水等によって水が汚染されるのを防止するために必要な点検等などの措置を講ずること」とされています。
さらに水道法だけではなく、建築物衛生法施行規則第4条の七でも、貯水槽の清掃を1年以内ごとに1回定期に行うとされています。
貯水槽の清掃の担当者、検査の担当者については、水道法第21条で、おおむね6カ月ごとに健康診断を義務付けられています。
法定検査を実施しなければ、水道法54条、第8号により100万円以下の罰金が施設のオーナーや管理会社などに課せられます。
上記のことが法律で義務付けられているのは「簡易専用水道」についてです。とはいえ平成13年の水道法の改正を機に、各自治体の条例により簡易専用水道ではない貯水槽についても清掃や点検などの管理を求められることが増えてきています。
簡易専用水道とは、受水槽の有効容量が10立方メートルを超える施設のことです。
貯水槽の清掃方法とは?
<清掃の前>
①マンション居住者やビルの利用者への告知
貯水槽の清掃や検査をしている間は、3〜6時間程度水道が使えなくなります。
そのため、事前にそのことを告知しておく必要があります。
②必要があれば、代替水を確保
<清掃の手順>
①貯水槽上部の清掃
フタや上部に溜まっているホコリや汚れが貯水槽内に入らないよう、まずは貯水槽の上部の清掃から始めます。
②給水の元栓を閉める
③高置水槽への揚水
高置水槽が設置されている場合は、満水にします。
④貯水槽内の残水を排水
水抜管やポンプ、残水処理機などを使って外部へ排水します。
⑤使用器具の消毒
排水をしている間に、掃除用具の消毒を行います。掃除用具だけでなく、長靴なども清潔にしなければなりません。これらの使用道具は、清掃作業専用です。
⑥貯水槽内の清掃
ブラシやタワシ、高圧洗浄機などを用いて貯水槽内を清掃します。清掃が終わったら、残った水を拭き取ります。
⑦貯水槽内の消毒
一度消毒をしたらしばらく時間を置き、水洗いと拭き取りを行います。さらにもう一度消毒と水洗い、拭き取りを行います。
余分な塩素が残らないよう、丁寧な水洗いが必要です。
⑧貯水槽に水を張る
消毒の後30分以上経過してから、水を張ります。
(高置水槽がある場合は、同様の清掃を行います。)
⑨水質検査
透明なガラスコップや白いカップに水を取り水質検査を行います。その場での確認ポイントは以下の通りです。
1)濁度 2度以下
2)色度 5度以下
3)残留塩素 0.2㎎/ℓ以上
4)臭気 異常でない
5)味 異常でない
詳しい水質検査は、検査機関に依頼する必要があるため、そのための採水を行います。
⑩報告書の作成
作業が完了したら、報告書を作成します。
毎年の貯水槽清掃データを管理することで、より良い給水方式などの提案も可能です。
これらの清掃や検査を行う中で、設備の破損や劣化がないかも確認していきます。もし破損などが見つかった場合、それらの修理も行います。清掃、検査とは別作業となるため、追加の料金が発生することが多いでしょう。
ご希望によっては、貯水槽外部の清掃を行う場合もあります。
貯水槽清掃作業依頼の手順
①業者に連絡をし、打ち合わせ日程を決めます。
②業者が貯水槽の現場状況確認をし、簡単な水質検査を行います。
③②を元に、作業内容や作業日などの打ち合わせをし、提案を受けます。
④見積もりを受け取り、内容に納得したら申し込みをします。
最後に
貯水槽は水が出入りするため、密閉された構造ではありません。サビや汚泥の沈積、藻の発生、虫や小動物などの混入、といったことも起こります。有害物質や汚水が混入することもあるのです。またタンクや設備に亀裂などの不具合が起こる可能性もあります。
貯水槽内の水質が悪化すると、利用者の健康に大きな悪影響を与えることにもつながりかねませんので、定期的な点検は必要不可欠なのです。